算数に興味のある方、集まれ~!!

次回、第99回は、11月26日(木)です。提案は「緑表紙」(低学年)、「数学的な考え方を育てる」(6年生)、「拡大図と縮図」です。
第100回は1月31日(日)です。内容は次回決定します。
興味のある方はご連絡ください。
みなさんのご参加をお待ちしています。
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2012年1月24日火曜日

第57回 さんまの会報告

第57回さんまの会
日時:1月24日(火) 18:00~
内容:1.提案   「魔法の行列」 5年生
2.実践報告 「数量関係 ~「比」の指導で帰納と演繹~」  6年生

1.提案 「魔法の行列」     5年生
わからなかったことがわかるようになると楽しい。できなかったことができるようになるとうれしい。知らなかったことを知るとおもしろい。「学ぶ」ことは、このように楽しく、うれしく、おもしろいものであり、その過程で試行錯誤して数学的な思考力が育まれます。
本提案は、教師のこのような思いをもって産み出された授業実践です。
右の「魔法の行列」から、以下のようにして4つの数を選びます。
①四行四列の表から好きな数を1つ選んで○を付ける。
②選んだ数と同じ行と列(上下左右)の数を消す。
③消されなかった数の1つにまた○を付け、②の操作を繰り返す。
④4つの数に○がつくまで続ける。
⑤○を付けた4つの数をたす。
このとき、友達とは選んだ数字が違うのに、それらの和はいつも34になります。「なぜ34になるのだろう」という問いが生まれ、解決の試行錯誤が始まります。4つの数の和が34になることを帰納的に発見し、演繹的に確かめることで、論理的思考力や表や式を利用したわかりやすい表現力が育てられます。
この数表は「加算表」といい、数の見方やきまりを発見する学習に有効です。数表を横に見ていくと1ずつ増え、縦に見ていくと4ずつ増えます。このことから、右表①のように数表を見直すことができます。日頃、式は答えを求める際にあつかうことが多いですが、このように数の構成(見方)として表せることに出会うことも、学習に有効だと思います。
①のように置き換えた数表に、「魔法の行列」で○を付けた数を当てはめて式を変形すると、選んだ数字が違っていても和は34になることが理解できます。
提案では、表を右表②のようにすることも話題になりました。このようにすると、式変形が理解しやすくなるというものでした。
さらに、「4でわったときのあまり」として見れば右表③のようになり、さらに和が等しくなることが明確になります。
たいへん興味深く、さらに可能性を感じる教材でした。

.実践報告 「数量関係 ~「比」の指導で帰納と演繹~」  6年生
 第5学年の図形領域の算数的活動に帰納と演繹の考えが明記されたことは、新学習指導要領で注目されている点のひとつです。しかし、この単元でのみ指導されるものではなく、折にふれて経験させることが数学的思考力を育てるのに大切だと思います。
本実践報告は、第6学年「比」で、子どもの気付きから、帰納と演繹の考えにふれることのできた学習の紹介です。
「等しい比」は、前項が何倍になっているかを求め、後項にも同じ数をかけて求めます。
この等しい比を求める練習問題を解いてる最中、ある子が「比の内側と外側をかけると同じ答えになってる。」と気付きました。
「1問だけでなく他の問題でもそうなるかな?」と問い直し、他の問題でも同様に計算するようにうながしました。そして、いくつかの問題を解き、帰納的に確からしいことがわかりました。
「たまたまこの数問だけこの規則が成り立つだけかも。いつも成り立つことを説明しないといけないね。」とさらに聞きました。すると、以下のように説明する子が現れました。

2:3=6:9  のとき
「2:3」を「A:B」とすると、「6:9」は「A×3:B×3」と書けます。式にすると、
A:B=A×3:B×3
内側どうし、外側どうしをかけて同じ答えになるから、
内側の積=外側の積
B×(A×3)=A×(B×3)
かけ算はかける順番を入れかえても答えは変わらないので、かっこをはずして入れかえても答えは変わらないから、
A×B×3=A×B×3
内側も外側も同じ式になるから、答えは同じになります。

ここでの説明に必要な既習事項は、「式変形(4年)」や「数字を文字に置き換えること(5年)」などです。すでに明らかにされている事柄を活用して、演繹的に考え、説明できます。
内側と外側は、それぞれ内項と外項と言い、「内項の積は外項の積に等しい」という比の性質が成り立ちます。中学校では、比例式からxを求めるとき、(内項の積)=(外項の積)を使って解決しますが、小学校では上記のように「比の相当関係」を中心に考えさせることが大切であり、この性質を真正面から取り扱わないことになっています。
今回は、子どもが練習問題に取り組んでいる最中に発見したことなので、発展的に扱うことにしました。