算数に興味のある方、集まれ~!!

次回、第99回は、11月26日(木)です。提案は「緑表紙」(低学年)、「数学的な考え方を育てる」(6年生)、「拡大図と縮図」です。
第100回は1月31日(日)です。内容は次回決定します。
興味のある方はご連絡ください。
みなさんのご参加をお待ちしています。
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2013年2月19日火曜日

第69回 さんまの会 報告

第69回 さんまの会 報告
日時:2月19日(火)
内容:
 1.「2けたのかけ算」(3年生)
 2.「第28回小学校算数教育研究全国(広島)大会」レポート
 
 3.「小学校のかけ算 えっ?順番が違うと「バツ」」新聞記事より
 4.坪田先生の「基礎基本を学ぶ授業づくり~拡大図・縮図~」
1.「2けたのかけ算」(3年生)
 本単元で整数の乗法は完成され、4年生以降の整数の除法、小数・分数の乗法・除法へと発展します。
 乗法筆算の課題のひとつは、乗法の意味や計算の意味が薄れ、機械的な計算(アルゴリズム)に重点が置かれる傾向にあることです。筆算の誤答の多くは、意味理解が不十分であるためにおこります。そこで、乗法のまとめとして本単元を見直し、筆算形式がどのような考えで成り立っているかを確認しながら習熟する指導について、提案がされました
 例えば、「42×23」では、被乗数と乗数を位ごとに分けて「(40+2)×(20+3)」を計算し、「40×20+40×3+2×20+2×3」の部分積を出します。ここでの「2×20」の計算が意外と子どもには理解しにくいようです。「~の10倍」や「~を10で割る」などの既習事項の見直しを意識しながら、つまずきを克服する指導の必要性を考えました。
 算数は系統性の強い教科です。現在の学習は以前のどこかとつながり、現在の学習は以後のどこかとつながります。子どものつまずきには既習事項を見直す必要があります。また、今後の学習を見通すことで確実に身に付けるべき内容や考え方に気が付き、教師の指導も変わってきます。
 例えば、「倍」という言葉を「2×9を2の9倍と言います」のように、これまで「9個分(分離量、累加)」としていたものを「倍」と言い換えてよいことを理解できることで、その後、小数や分数(連続量)に数を拡張したときの理解や説明の手掛かりになります。
 提案では、「4×30」を「4×3×10」や「4×10×3」のように工夫して計算することや、「21×13」は「21×10」より大きくなると見通しを立てること、筆算で部分積を書かせることで計算の仕組みを理解できることなども話題になり、子どもが段階的に理解したり不思議を見付けて解き明かしたりしていく授業の大切さを考えることができました。

2.「第28回小学校算数教育研究全国(広島)大会レポート」
 「言語活動を生かした算数授業-数学的な考え方の育成をめざして-」をテーマに、全学年18学級の公開授業が行われました。言語活動を生かした授業展開、発問や学び合いの形態、算数的活動を意識した課題など、現在の、そして、これからの算数授業についてのアイデアが多く提案されました。
 「算数科において言語活動を充実させることは、それ自体が目的ではなく、考えたことを言葉や記号に表すことによって、考えを整理したり、表現された言葉や記号からさらに考えを進め深めたりするなど、よりよく考える力を育てていくことに本当の目的がある。」という言葉が印象に残ったという発表者の話に、授業を見直すきっかけを考えることができました。
3.「小学校のかけ算 えっ?順番が違うと「バツ」」新聞記事より
 「8人に鉛筆をあげます。1人に6本ずつあげるには、全部で何本いるでしょう。」という問題。小学校では「6×8=48」が正解と教えます。問題文に出てきた順に数値を使うのではなく、式の意味を大切にして「1つ分×いくつ分」の約束を守るからです。
 この計算の順序に疑問を持った保護者がブログに書いたところ、大きな反響があったそうです。
 この件について文科省は、「正しい順序は決めていない。学習指導要領にも順序の記述はない。順序の指導については学校現場に裁量があり、コメントする立場にない。」との回答だったそうです。
 教科書には「1つ分×いくつ分」と明記されていますが、交換法則をつかえば答えは同じなので、答えを求めるだけであればこだわる必要はないのかも知れません。しかし、式は算数の言葉であり、ルールを決めて表さないと混乱します。わり算の等分除・包含除の考え方にも影響します。
 この論争は41年前にも新聞記事になっているそうです。日本では「1つ分×いくつ分」の順序ですが、海外では逆の順序で、水泳などの競技で「4×100」リレーなどにも現れています。
 指導者はこのようないきさつなども理解して指導することが、子どもに分かりやすく指導するために必要であると考えることができました。

4.坪田先生の「基礎基本を学ぶ小学校算数の授業づくり ~拡大図・縮図~」
 「同じ形」の学習は低学年から始まりますが、5年生ではこれを「合同な形」と言い換え、構成要素を調べたり作図したりします。
 「拡大図・縮図」は、大きさは違っても形が変わらない図形です。つまり、対応する辺の長さの比と対応する角の大きさは変わりません。図の構成要素を調べたり作図したりするとき、一方を「1」と見て、もう一方はどのような関係にあるかを柔軟な視点で見られるようになることが大切です。
 ここでの学習は、面積比や体積比の基礎となり、中学校での学習ともつながります。「2倍の拡大図」の面積を求めるとき、2倍ではなく4倍であることをスムーズに理解するためには、「拡大図・縮図」で具体的イメージをもって理解させなければならないと考えることができました。