算数に興味のある方、集まれ~!!

次回、第99回は、11月26日(木)です。提案は「緑表紙」(低学年)、「数学的な考え方を育てる」(6年生)、「拡大図と縮図」です。
第100回は1月31日(日)です。内容は次回決定します。
興味のある方はご連絡ください。
みなさんのご参加をお待ちしています。
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mo.ri2.n.mo.ri2.n@gmail.com

2012年12月20日木曜日

第67回 さんまの会 報告

第67回 さんまの会
日時:12月20日(木)
内容:1.実践報告
       2.「かけ算」(2年生)
1.実践報告
①「単位量あたりの大きさ」

 「60分毎に400円のAコートと、30分毎に200円のBコートでは、どちらが得か?」という問題では、時間や金額をそろえたり単位量あたりを求めたりしてくらべ、いろいろな考え方を説明する授業が行われます。この問題場面では、そろえても単位量でも同じであるように思われますが、例えば、61分借りたときには、Aコートは800円でBコートは600円で違いが出ます。単に数字を扱うだけでなく、状況に合わせて考える必要があります。さらに続けて、「Cコートでは最初の30分が無料で、以後は15分で200円」のように別条件を提示することで、子ども自身が状況に合わせたり仮定したりして問題を解こうとする態度を育てることができます。また、判断の根拠を説明するために、図や表、グラフについても考えさせます。比例のグラフのように一直線になるのではなく、状況を的確に捉えて折れ線グラフになります。図も様々考えられます。
 このような問題場面は、郵便やタクシー料金など他にも様々なところにも見られます。実生活にも生かされることを経験させることで、算数の有用性を実感させられる授業になると考えることができました。

②「分数」(関数の考えを使って)
 分数は、分子÷分母で整数や少数にすることができます。しかし、1/7はわり切れず、循環小数になります。このとき、「小数第27位の数字は何でしょう」という問題では、子どもはどのように考えて答えを求めるでしょうか。根気よく筆算でわり進んでも求まりますが、循環節「142857」に気が付けば、きまりを使って「27÷6=4あまり3」から、あまりが「3」なので、循環節3番目の「2」と求めることができます。関数の考えを使うことで、効率よく問題を解くことができます。関数の考えを適切に使って、問題や身のまわりの物事を捉えることができるように育てたいと考えています。
 さらにこの話題から、「1=0.9」であることが説明できるという話題になりました。このような扱いでも、算数の不思議さおもしろさを子どもが実感できると考えることができました。

2.「かけ算」(2年生)
 研究主題「学ぶ楽しさ、分かる喜びが実感できる学習指導(展開)を目ざして」を達成するために、「既習事項を手掛かりとして、未収内容にひそむ課題を明らかにすることにより、自らの課題に意欲的に取り組み、主体的に解決しようとする児童が育つであろう。」という仮説を立てて取り組んでいる研究授業の実践報告と授業検討をしました。
 本時は、2年生の「かけ算」、18時間中の16時間目です。「乗法九九を総合的に活用して、問題を解決することを通して、九九の理解を深める」ことが目標です。
 縦5個、横6個のうち左上の6個(2×3)が欠けたドット図を見せ、全部でいくつあるかを工夫して求めさせます。まとまりをつくって九九を使って数えさせますが、その求め方を図にかいたり式に表したりします。3個ずつなどで数えたり、全体をふたつに分けたり、一部を移動して長方形になおしたり、、、いろいろな求め方を説明させます。
 様々な求め方を子どもに気付かせるために、どのような問題提示や発問、展開できるかも話題になりました。例えば、授業者が期待したひき算(大きな四角形から欠けてる部分をひく)の考えは出なかったのですが、ひき算の考えを見出しやすくするには、欠けている部分が小さいとよいなどの意見が出されました。
 かけ算を学習した2年生が、かけ算を使って問題を解く経験をすることは、学んだことが生かせることを実感できてよいと思います。このような内容や経験が、様々な単元にひそませておくことが、大切だと思います。また、今後の学習に生かされる事項を予測して扱うことも学力を着実に定着させると思います。本提案では、4年生での複合図形の面積の求め方にもつながる内容でした。スパイラル的な要素を含ませておくこともまた、大切であると考えることができました。

2012年11月30日金曜日

第66回 さんまの会 報告

第66回 さんまの会
日時:11月30日(金)
内容:1.数量関係「関数の考え」について~来年度の日数教での発表に向けて(調査問題について)~
     2.「変わり方調べ(数量関係・関数)」(4年生)

1.数量関係「関数の考え」について
     ~来年度の日数教での発表に向けて(調査問題について)~

  
 これまで「「関数の考え」を育てる継続的指導」について、2年間取り組んできました。来年度の日数教では、いよいよそのとりまとめの提案をします。子どもの変容を調査する問題について話題にしました。問題解決の際に関数を見出したり説明したりする力などを図ります。
 裏面に第五学年の問題を掲載しました。ご覧ください。

2.「変わり方調べ(数量関係・関数)」(4年生)
  
 4年生の「変わり方調べ」では、具体的な場面で伴って変わる2量の関数的な関係を見出したり、その2量の変化の特徴を読み取ったりする活動を通して「関数の考え」を育成します。授業では、依存関係に着目して表を作成をし、そこから、「変化のきまり」や「対応のきまり」を発見して問題解決します。 
 しかし、全国学力調査等から、表からきまりを見付けられたとしても、それを関数の式に表すことに課題があることが分かりました。つまり、関数関係を見付けたり用いたりするだけでなく、その関数関係を式に表現する力を養うことが求められているのです。
 そこで、「変化の決まりから対応の決まりを導く」ことや「式と図を対応させて式を読む」ことが改善案として提案されました。
 提案では、「正方形の数と棒の数の関係を式に表し、変化の決まりから対応の決まりを導くことで数量の関係を簡潔にとらえる」ことを目標にした指導案が提示されました。変化のきまりを見付け、一般化して式にするだけでなく、この問題場面では捉えにくい対応のきまりも式化することをねらっています。新しい試みで、興味のある提案でした。
 参加者からは、具体的場面を式化する過程に数量を数世界で扱う有効性があることや、式化すると場面の説明がしにくくなることなど、様々な意見が出され、活発な会になりました。

2012年10月10日水曜日

第65回 さんまの会 報告

第65回 さんまの会
日時:10月9日(火)
内容:1.「三角形(三角形の仲間分け)」(3年生)
    2.「比例と反比例」(6年生)
1.「三角形(三角形の仲間分け)」(3年生)
 4種類の長さのストローを使って三角形を作り、できた三角形を仲間分けする学習です。
 授業者は、子どもが辺の長さに着目して弁別し、その後の二等辺三角形や正三角形の学習につなげることをねらいましたが、子どもは直角があるかないかに着目して仲間分けしました。このことから、子どもの反応が教師の意図と違うときどのように授業展開すればよいのか。また、子どもの思考をシンプルにさせてスムーズに学習を進めていくことと、失敗し迷いながら進めていくのではどちらが子どもにとってよい授業なのか、などが話題になりました。
 時間に限りのある授業では、いつまでも子どもの反応につきあえない現実があります。しかし、子どもの反応を生かして授業を組み立てることは大切です。特に、本単元では、図形の弁別を通して自分なりの観点を生み出すことが重要な学習です。自分で観点を決めて物事を見れるようにするなど、子どもの反応と向き合うためにも、教材研究が大切であることを改めて考えました。

2.「比例と反比例」(6年生)
 理科で使用するてんびんやはかりを使って、釣り合うおもりの位置やバネののびがそのまま比例や反比例のグラフになる学習の実践報告です。
 場面を表に表し、表からグラフにかくことはよく扱いますが、目に見える状態そのものをグラフに表すことができる様子は、子どもも楽しみながら学べると思います。
 様々な教材のネタをもつことで、授業の幅も広がり魅力も増すと考えさせられる提案でした。

2012年9月13日木曜日

第64回 さんまの会 報告

第64回 さんまの会
日時:9月13日(木)
内容:1.「倍の計算」(3年生)
    2.「日数教での発表報告」

1.「倍の計算」(3年生)
 「3年生の『倍の計算』の単元において、どのように学習すれば高学年で学習する「割合」の意味理解につなげることができるのか。」を一緒に考えました。系統性の強い算数で、先の学習や学年をきちんと見通して、そこにつながる今の指導を考えることはたいへん意味があると思います。
 提案者が授業実践しようと考えていることは、
  ①「倍概念」について、今までの生活経験をもとに話し合う活動を大切にする。
  ②測定する活動を取り入れる。
です。
 本単元では、「1つ分×いくつ分=全体の大きさ」「全体の大きさ÷1つ分=いくつ分」などから、「倍概念」を理解することをねらいます。ここでの学習が高学年で学習する「小数倍」「分数倍」「割合」「百分率」「歩合」などにつながるので、これらを見通した指導を考えました。
 ここで扱うのは整数倍なので、いくつ分という累加の場面です。この整数で「いくつ分」と、小数や分数を含む「倍の考え」が同じ考えであることを子どもがとらえ、よさを感じるにはどうすればよいのかについて、意見が交わされました。例えば、「倍」の学習で、何を「1」と見て関係を理解すればよいかを指導することが、その先の「割合」などでの指導を見通すことにつながることなどです。
 ほかにも、4マス関係表の扱いなども話題になりました。
 「倍」の指導を通して、今後の学習を見通した現在の学習の意味を考えると同時に、今の学習がこれまで学習したてきた他領域や他単元とどのようにかかわるかを考えることも必要だと思いました。算数全体を俯瞰して、それぞれの学習がどの位置付けにあるかを授業者が理解することは、学習がつながり合ってより豊かな授業になるのではないかと考えることができました。
 

2.日数教での発表報告
 8月に行われた福岡での研究発表の様子を、映像を見ていただきながら報告しました。
 今年度は、昨年度に引き続き「『関数の考え』を育てる継続的な指導」をテーマに取り組んでいます。本指導の意義や各学年での実践、実態調査、考察などを発表しました。本研究について質問や講評を受け、改めて勉強し直す必要を感じました。
 本テーマについては、来年度の日数教で引き続き発表する予定です。
 「関数の考え」については、毎月、実践や素材の報告を行うなどして、追求しています。資料のある方は、どうぞお持ちください。

2012年7月17日火曜日

第63回 さんまの会 報告

第63回 さんまの会
日時:7月17日(火)
内容:1.モンゴル算数事情
    2.「場合の数」

1.モンゴル算数事情
 JICA(ジャイカ:Japan International Cooperation Agency)の国際協力事業の一環で、モンゴルでの教育事業を紹介していただきました。
 モンゴルは、これまでの暗記中心・知識注入型の指導法を見直し、子どもが豊かな発想力・思考力をもち、自ら課題を解決していけるようにと、指導の転換期にあるそうです。そのような点は、現在の日本と共通すると思います。
 報告では、授業の様子を指導案やビデオ映像などを交えて説明していただいきました。日本と同じように、指導案には授業の目的や展開などが記載されていたり、黒板を利用して授業したりしています。さらに、協議会も行われているそうです。
 日本の教員の姿勢や研究授業の持ち方などは、世界からも注目されてると聞きます。日本の教育が成り立っているのは、何より個々の教師のモチベーションや責任感だという話も聞きます。日々困難に直面し、課題の多い教育現場に翻弄されますが、本報告や先生方の意見から、改めて教員としての意欲を高めることができました。

2.「場合の数」
 順列や組み合わせの「場合の数」の指導について検討しました。
 4人で班を創るときの机の並び方や、4枚の数字カードでできる数、4チームでの総当たり戦をするときの試合数など、いくつかの内容が考えられます。いずれも、落ちや重なりがないように効率的に整理するために、図や記号化するなどの工夫を子どもが生み出させるように指導します。
 本提案では、単元末のまとめ・活用として、「4マスの正方形のマスの塗り方を考える活動を通して、落ちや重なりがないように整理する方法について理解を深める」ことを目標にした授業です。何通りの塗り方があるかを、既習事項を生かして解決します。さらに、4マスでなく3マスや5マスだったらと数値を変えて考えたり、数値が変わったときの変化の様子を表に表して読み取ったりなど、発展的な学習としての扱いも話題になりました。6マスの場合では、点字につながり、学習したことが算数以外に広がりをもつ魅力もありました。
 教材研究が大切という話はよく聞きますが、その教材を教師が楽しいと思うことが肝心です。本提案は、そのような教材の魅力を感じるものでした。後日、実践報告を予定しているので、楽しみです。

2012年6月19日火曜日

第62回 さんまの会 報告

第62回 さんまの会
日時:6月19日(火)
内容:提案 「『関数の考え』を育てる継続的な指導」ついて
 昨年度に引き続き、今年度もさんまの会として日本数学教育学会(日数教)に「『関数の考え』を育てる継続的な指導」を提案します。
 『関数の考え』とは、規則性を意識しながら問題を解釈し、見つけた規則性を使って問題を解決したり、発展的に考えたりすることです。『関数の考え』は、数量関係領域に位置付けられていますが、他領域はもちろん、他教科や日常でも活用することが出来ます。また、自ら問題に語りかけ、その先を見出そうとする「算数を創る子ども」を育てるためにも、ぜひ身に付けさせたい見方や考え方です。そのために、教師が意図的・継続的に指導することが必要であると考え、昨年度は『関数の考え』を低学年のうちから意識的に指導することの必要性を提案しました。
 今年度は、習慣的に『関数の考え』を使おうとする態度を育てるために、具体的な授業実践に取り組みます。例えば、①きまりを見付ける授業、②きまりを使う授業、③きまりの仕組みを考える授業、④前に見付けたきまりを使う授業、の4つの視点で教科書や授業を見直したり、調査問題を実施し、子どもの変容を追ったりします。1年間を通して実践し、来年度その成果や課題をまとめて3回目の日数教での提案を予定しています。関心のある方は一緒に実践に取り組んでみませんか。

2012年5月28日月曜日

第61回 さんまの会 報告

第61回 さんまの会
日時:5月28日(月) 18:00~
内容:1.提案  「かけ算・わり算(倍の考え)」 第4学年
2.日数教に向けて(「関数の考え」調査問題の集計について)

1.提案  「かけ算・わり算(倍の考え)」 第4学年
「2数の倍数関係を用いると、基準量が分からなくても全体量を求められる場合があることを理解するとともに、そのよさに気づく。」ことを目標に、単元『倍の計算』の指導案を検討しました。
1時間に3つの段階の問題を扱うことで、区の研究主題「数学的な考え方を伸ばす指導~子どもの考えを生かし高める指導の工夫~」の達成を目指します。
3つの段階の問題は以下の通りで、各段階で求め方を図や言葉、式などを使って説明します。
第1段階は、「ヨーグルトが1パックに3個入っています。1パック150円です。12個だと何円になるでしょう。」この問題では、150÷3=50で1個分は50円をとし、その12個分で50×12=600で600円とする求め方と、12個は3個の4倍であるから150×4=600とする求め方が考えられます。1個50円を単位とするか、3個150円を単位をするかの違いがあります。
第2段階は、「ヨーグルトが1パックに3個入っています。1パック200円です。12個だと何円になるでしょう。」この問題では、1個分でなく3個を単位として倍関係を求めて解くことができます。
第3段階は、「3個で111円の唐揚げがあります。21個だと何円になるでしょう。」この問題は、1個分でも3個分でもどちらでも求めることできますが、段階を踏んできていることもあり、3個分を
単位とする方が求めやすそうです。
本会での検討では、教師側から3問出すのではなく、子どもが主体的に問題に関わるように工夫することを考えました。そのひとつが、問題文中の数値を子どもに考えさせることです。1パックの個数や値段、購入したい個数などを子どもが決める過程で、扱いやすい数値の理由(倍関係)に気付くことができるのではないでしょうか。
また、提案された展開では、1当たりでなく倍数関係のよさにたどり着くように意図されていますが、実際は扱われる数値によって子どもが判断していずれの考えも使いこなせることを目指したいものです。
求め方を考え、説明する場面では、問題の構造を理解するのに式が活用できそうです。例えば、第1段階の問題は、式に表すと(1つ分)×(いくつ分)です。1個分に着目すれば、(150÷3)×12です。3個分に着目すれば150×(120÷3)です。このような構造に気付くことで、考えを整理し、より数学的な説明が期待できそうです。
子どもが、「自分の考えがいつでも使える。もし使えないときはどうすればよいかを考えさせる。」という授業展開の大切さを感じることができました。

2.日数教に向けて(「関数の考え」調査問題の集計について)
日数教に向けて、調査問題の集計の仕方を考えました。
「関数の考え」について、次回第62回で、参加者みなさんで勉強したいと考えています。

2012年4月13日金曜日

第60回 さんまの会報告

第60回 さんまの会
日時:4月13日(金) 18:00~
内容:1.提案   「小数のかけ算を考えよう」 第5学年
    2.日数教に向けて(「関数の考え」について、調査問題について)

1.提案 「小数のかけ算を考えよう」 第5学年 本単元の目標、「乗数が小数の場合の乗法の意味や計算の仕方を理解し、それを用いることができるようにするとともに、小数の場合でも整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解する。」を達成するための授業について考えました。
 かけ算は、整数から小数へと数を拡張し、「整数×小数」や「小数×整数」、「小数×小数」を扱います。単に、「小数のときは小数点の位置がこのように変わります。」と教えてしまうのではなく、子ども自身が、小数が扱われる場面を理解したり、既習事項を生かして計算の仕方を考え、説明したりする授業展開を目指すことが大切です。
 授業は、単位量の異なる架空世界で長さを測る場面を想定してはじまります。現世界では42㎝に相当することから、架空世界で1○(○は架空世界の単位)は、42×1で42㎝を表します。2○なら、42×2で84㎝です。
 「では、0.4○のときは何㎝になるでしょう。」の発問から、子どもに立式や計算の仕方を考えさせます。
 類推すれば、「42×0.4」と立式でします。しかし、「少数をかけるなんてことは本当にあり得るのだろうか?」「0.4をかけるとはどういうことだろうか?」 式は立てられても、式を説明することができないと子どもは悩むでしょう。また、計算すると、積は被乗数42より小さくなる。これまでかけ算といえば積が大きくなることしか経験していない子どもにとってはたいへんな違和感を感じることでしょう。
 以上のような課題を解決するために、既習事項を生かして、計算のきまりや倍の考え、数直線を活用するなどの必然が生まれます。そして、思考力・表現力を駆使する授業に改善し、目標を達成することができます。子どもの思考を予測し、疑問をいだかせ、解決したい説明したいと導くことが、よりよい学習につながると感じました。
 さらに、単に教科書の系統性だけにたよらず、今後の学習を見通して扱うべき学習に配慮することの大切さも、改めて学ぶことができました。

2.日数教に向けて(「関数の考え」について、調査問題について) 夏の日数教での発表に向けて説明がされました。
 今年度は、昨年度の成果を生かして実践例を積み上げるほか、子どもの変容について追跡調査することも考えています。様々な領域や単元において、ひとつの方法だけでなく、「関数の考え」で問題解決することもできることに気付き、実際に使って問題を解いたり、物事を見たりできる子どもを育てるための指導法や実践例に取り組みます。

2012年3月19日月曜日

第59回 さんまの会報告

第59回さんまの会
日時:3月19日(月) 18:00~
内容:1.提案 「かけ算の筆算(2位数)×(2位数) 」 3年生
2.実践報告 「算数の授業開き」 4・5・6年生

1.提案  「かけ算の筆算(2位数)×(2位数) 」 3年生 「数学的な思考力・表現力の育成~「考え」を関連づける指導の工夫~」を研究主題に取り組まれた内容や実践の報告です。
提案では、「12×23」の計算の仕方について、アレイ図の見方や式の表し方を示しながら子どもが説明し、様々な求め方を検討して、いずれも「わける」「かける」「たす」という共通のキーワードで関連づけ、統合できます。このことから、(2位数)×(2位数)の計算の原理原則に迫ることをねらったものでした。子どもの数の見方や分け方にはそれぞれ理由があり、それらを知ることは考えを広げ、深めるものです。教師が「(2位数)×(2位数)のかけ算は、位ごとに分けて計算します。」などのように説明してしまえば計算は出来るようになるかもしれません。しかし、子ども自身が考え、互いの解決方法を比較検討する中でたどり着いた方法は、確かな力になると改めて考えことが出来ました。

2.実践報告 「算数の授業開き」 4・5・6年生 初めての算数の授業。「算数って楽しいな!」「算数大好き!」という印象をもってもらえるように、先生方は様々に工夫されていることと思います。
「20×20と21×19では、どちらの答えが大きいでしょう?」という問題。2つの式を計算して積を比べれば答えは明確ですが、類推的にアプローチしたり、いくつかの結果から帰納的にきまりに気付いたりすれば、計算しなくても求められたり、不思議なきまりに興味をもったりできます。
例えば、20×20をもとにしてみれば、21×19は被乗数に+1、乗数に-1されているので、答えは同じともかんがえられます。しかし、数を変えて、「5×5と6×4では、どちらの答えが大きいか?」と考えれば、すぐに答えが違っていることが分かります。また、「被乗数に+2、乗数に-2とした場合はどうだろう?」「他の数ではどうだろう?」と考えを広げられるように授業を展開すれば、算数のおもしろさにふれられそうです。さらに、見付けたきまりを図や表などを使って説明することを取り入れれば、数学的な思考力も伸ばせそうです。
新年度にさっそく自分の学級でも実践したくなる実践報告でした。

2012年2月28日火曜日

第58回 さんまの会報告

第58回さんまの会
日時:2月28日(火) 18:00~
内容:1.提案   「分数」 3年生
2.実践報告 「数と計算」  6年生

1.提案 「分数」     3年生
新学習指導要領では、分数を2年生から扱うことになりました。おりがみなどの具体物を操作しながら簡単な分数について知ることに始まり、6年生まで段階的に扱っていきます。その学年での学習をきちんと身に付けることで、次の学年の学習に生かされます。系統立っているので、既習を生かして問題解決学習する内容にもなると思います。
本提案では、3年生の分数指導で大切にしたいこととして以下の3点を上げ、具体的に2つの実践報告が紹介されました。
①分数のしくみをしっかり理解する。
②量分数と分割分数の違いを知る。
③単位分数をもとに考える。
【実践報告①】では、各班に配布したリボンを4分の1ずつ切り分けて、隣の班と長さを比べることから始まりました。同じ4分の1に切り分けたのに、リボンの長さが違っています。その理由を考えさせる授業です。各班に違う長さのリボンを配られているからなのですが、子どもは同じ長さが配られていると思っているので驚きます。分数は量を表すだけでなく、全体をいくつかに分けたうちのいくつ分という表し方もできることを、算数的活動で体験的に学ぶことができました。
本単元は、1mや1Lのはしたの数を表すのに分数を使うことから学びはじめます。量分数です。本実践報告は、その3時間目で、あるものを1と見てそれをいくつかに分けたうちのいくつ分とする分割分数です。量分数と分割分数の意味理解を深めることにつながりました。
【実践報告2】は、単元末で扱ったパターンブロックを使った分数遊びです。黄色(六角形)1枚を1エビ(子どもの考えた単位)としてジャンケンゲームを行い、パターンブロックを交換します。ゲーム後に手元にあるパターンブロックの点数を数えることで、単位分数のいくつ分で表せることを練習したり、異分母分数の大きさ比べや同値分数の意味に触れたりすることができました。
この後の学年では、分数を割合と見ることなどを学びます。子どもの思考に沿うためにも、分数の様々な意味や表し方があることを教師が理解していることは、大切だと改めて考えることができました。

2.実践報告 「数と計算」  6年生
本実践報告は、小数でも分数でも表せない数(無理数)があることを理解するために、既習事項を生かして正方形の面積から1辺の長さを求める方法を考えさせる授業です。なお、小学校では円周率が無理数に当たります。
本時では、面積2㎠の正方形の1辺の長さを求めることを問題にしました。子どもは、既習事項の正方形の面積公式(一辺)×(一辺)を生かして、数を当てはめて求めていきました。面積が1㎠と4㎠のとき、一辺の長さは1㎝と2㎝になることから、面積2㎠で当てはめる数の範囲をおおまかに推測しました。そして、より正確な数値に近づけようと、子どもは熱心に計算しました。
中学校では平方根(√)を学んで表すことができるようになりますが、小学校でも教材を通して平方根や無理数の意味理解に迫ることができると考えることができました。

2012年1月24日火曜日

第57回 さんまの会報告

第57回さんまの会
日時:1月24日(火) 18:00~
内容:1.提案   「魔法の行列」 5年生
2.実践報告 「数量関係 ~「比」の指導で帰納と演繹~」  6年生

1.提案 「魔法の行列」     5年生
わからなかったことがわかるようになると楽しい。できなかったことができるようになるとうれしい。知らなかったことを知るとおもしろい。「学ぶ」ことは、このように楽しく、うれしく、おもしろいものであり、その過程で試行錯誤して数学的な思考力が育まれます。
本提案は、教師のこのような思いをもって産み出された授業実践です。
右の「魔法の行列」から、以下のようにして4つの数を選びます。
①四行四列の表から好きな数を1つ選んで○を付ける。
②選んだ数と同じ行と列(上下左右)の数を消す。
③消されなかった数の1つにまた○を付け、②の操作を繰り返す。
④4つの数に○がつくまで続ける。
⑤○を付けた4つの数をたす。
このとき、友達とは選んだ数字が違うのに、それらの和はいつも34になります。「なぜ34になるのだろう」という問いが生まれ、解決の試行錯誤が始まります。4つの数の和が34になることを帰納的に発見し、演繹的に確かめることで、論理的思考力や表や式を利用したわかりやすい表現力が育てられます。
この数表は「加算表」といい、数の見方やきまりを発見する学習に有効です。数表を横に見ていくと1ずつ増え、縦に見ていくと4ずつ増えます。このことから、右表①のように数表を見直すことができます。日頃、式は答えを求める際にあつかうことが多いですが、このように数の構成(見方)として表せることに出会うことも、学習に有効だと思います。
①のように置き換えた数表に、「魔法の行列」で○を付けた数を当てはめて式を変形すると、選んだ数字が違っていても和は34になることが理解できます。
提案では、表を右表②のようにすることも話題になりました。このようにすると、式変形が理解しやすくなるというものでした。
さらに、「4でわったときのあまり」として見れば右表③のようになり、さらに和が等しくなることが明確になります。
たいへん興味深く、さらに可能性を感じる教材でした。

.実践報告 「数量関係 ~「比」の指導で帰納と演繹~」  6年生
 第5学年の図形領域の算数的活動に帰納と演繹の考えが明記されたことは、新学習指導要領で注目されている点のひとつです。しかし、この単元でのみ指導されるものではなく、折にふれて経験させることが数学的思考力を育てるのに大切だと思います。
本実践報告は、第6学年「比」で、子どもの気付きから、帰納と演繹の考えにふれることのできた学習の紹介です。
「等しい比」は、前項が何倍になっているかを求め、後項にも同じ数をかけて求めます。
この等しい比を求める練習問題を解いてる最中、ある子が「比の内側と外側をかけると同じ答えになってる。」と気付きました。
「1問だけでなく他の問題でもそうなるかな?」と問い直し、他の問題でも同様に計算するようにうながしました。そして、いくつかの問題を解き、帰納的に確からしいことがわかりました。
「たまたまこの数問だけこの規則が成り立つだけかも。いつも成り立つことを説明しないといけないね。」とさらに聞きました。すると、以下のように説明する子が現れました。

2:3=6:9  のとき
「2:3」を「A:B」とすると、「6:9」は「A×3:B×3」と書けます。式にすると、
A:B=A×3:B×3
内側どうし、外側どうしをかけて同じ答えになるから、
内側の積=外側の積
B×(A×3)=A×(B×3)
かけ算はかける順番を入れかえても答えは変わらないので、かっこをはずして入れかえても答えは変わらないから、
A×B×3=A×B×3
内側も外側も同じ式になるから、答えは同じになります。

ここでの説明に必要な既習事項は、「式変形(4年)」や「数字を文字に置き換えること(5年)」などです。すでに明らかにされている事柄を活用して、演繹的に考え、説明できます。
内側と外側は、それぞれ内項と外項と言い、「内項の積は外項の積に等しい」という比の性質が成り立ちます。中学校では、比例式からxを求めるとき、(内項の積)=(外項の積)を使って解決しますが、小学校では上記のように「比の相当関係」を中心に考えさせることが大切であり、この性質を真正面から取り扱わないことになっています。
今回は、子どもが練習問題に取り組んでいる最中に発見したことなので、発展的に扱うことにしました。