算数に興味のある方、集まれ~!!

次回、第99回は、11月26日(木)です。提案は「緑表紙」(低学年)、「数学的な考え方を育てる」(6年生)、「拡大図と縮図」です。
第100回は1月31日(日)です。内容は次回決定します。
興味のある方はご連絡ください。
みなさんのご参加をお待ちしています。
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mo.ri2.n.mo.ri2.n@gmail.com

2011年12月12日月曜日

第56回 さんまの会報告

第56回 さんまの会報告
日時:12月12日(月) 18:00~
内容:1.提案 「変わり方調べ」 4年生
2.実践報告 「和について考えよう」 6年生

1.提案 「変わり方調べ」 4年生
算数だけでなく、キャリア教育や人権教育の視点をもって学習する指導案の検討を行いました。例えば、キャリア教育で目指す能力としては、「自己表現力」「コミュニケーション能力」「生活に生かす力」などの評価の観点があります。思考力・表現力や活用力が算数でも注目されているので、キャリア教育とも通ずるところがあると考えさせられました。
算数の学習としては、「1辺が1㎝の正方形の厚紙を、1段、2段、3段・・・と階段のように並べます。段数が20段のときの周りの長さを簡単に求める方法を考えよう。」という問題です。
この問題は、扱い方によっては、「変わり方(数量関係の関数の考え)」でも「数え方の工夫」でも解くこともできます。本時では、変わり方を調べることが目標なので、伴って変わる2つの数量の関係に着目して問題を解くように展開します。そのために、例えば、子どもが表にかき表すことに気付いて変化の様子を考えることや、1段増えると周りの長さが4㎝ずつ増える理由を図を使って理解したり説明したりすることや、段数を20段とせず□として問題提示することなどを組み入れることとして考えられます。
子どもに身に付けさせたい力を明確にして、発問や問題の提示の仕方を工夫し、子どもの「なぜ」を引き出して、子どもが解決しようとしたり説明しようとしたりする学習展開を心がけることの大切さを改めて考えることができました。

2.実践報告 「和について考えよう」 6年生
1~9までの数カードを縦と横の和が同じになるように十字に並べたときの数の組み合わせに着目することを通して、筋道を立てて考える態度を養うことを目標に学習します。
まずは中央の数を1枚決めるところからです。はじめは「5」を入れたとき、他の8つのマス目に残った8枚をどのように入れたらよいかを考えさせます。しばらくすると、4隅が10になる組み合わせで入れれば、縦横の和が等しくなることに気付き、説明が始まりました。数カードの合計は45。「5」を使ったから、45-5=40。4隅に入れるので、40÷4=10。つまり、残った8枚を和が10になる組み合わせにすればいい。縦横とも、和が25になります。
では、中央が「5」でない場合でもできるでしょうか? 「9」を入れてみよう。学んだことをさっそく生かし、「5」の場合を手掛かりに考えました。できる。今度は、他の8つのマス目に和が9になるように入れます。45-9=36、36÷4=9。つまり、残った8枚を和が9になる組み合わせにすればいい。縦横とも、和が27になります。
ここまでくると、子どもは他の数でもできるのだろうかと興味をもちます。いろいろ数を当てはめて調べていく過程で、できる数とできない数に出会い、その理由を探り出します。子どもが課題を見出して学び出す瞬間です。
「1~9までの合計は45で、「(45-中央の数)÷4」を使えば、筋道を立てて考えることができる」という考え方が使えるようになってほしいと授業者は願っています。「順序よく考えれば、答えを出すことができる。」という趣旨の学習感想がノートに書かれていれば、望む子どもの姿といえます。
また、発展として、並べ方を十字でなくT字やL字にすることも考えられます。

2011年11月7日月曜日

第55回 さんまの会報告

第55回 さんまの会報告
日時:11月 7日(月) 18:00~
内容:1.提案 「数学的な思考力・表現力の育成~『考え』を関連付ける指導の工夫~」  3年生
    2.指導案検討 「分数」 3年生
    3.実践報告 「思考力を高めることを意識した計算練習の指導、全員が主体的に参加できる、計算練習の指導」 2年生 

1.提案「数学的な思考力・表現力の育成~『考え』を関連付ける指導の工夫~」 3年生 子どもが問題解決に向けて考えたことは、言葉や数、式、図、表、グラフなどに表現されます。それら表現されたものの中にある「考え」に着目して相違点を見出し、関連付ける学習は、数学的な思考力・表現力を育成するものです。「考え」を関連付ける指導の工夫として、「表現の中にある考えに着目しやすい提示の仕方の例とその効果」「9つの価値付け」「方向付ける発問」などについて提案されました。
 具体的な指導として「かけ算の筆算(3年生)」。何十をかける問題場面では、子どもはどのような工夫をして数を数えるのかを話し合いました。
 まず、場面のとらえ方に相違点が見られ、式の表し方に「考え」をうかがうことができます。また、場面提示の仕方で、子どもの思考が方向付けられるものでもあります。
 そして、演算の処理にも「考え」がうかがえます。分配法則や結合法則、交換法則などを使って計算の仕方を工夫するところに、相違点が見られます。
 子どもと「考え」の相違点を検討することを通して、数学的な思考力・表現力に迫る手法は、興味深いものでした。

2.指導案検討 「分数」 3年生 既習の分数をヒントに、子どもがはしたの数量の表し方を考え、見出す授業展開について考えました。
 物差しで長さを測ることが既習である3年生に、mの下位単位cmを使わずに長さを表させるために特別な場面を設定することを考えました。つまり、架空の国の単位「プラチナ」を用いて王様の身長を測る問題場面で、元にする量を子どもが分割して分数で表すよさを感じさせます。子どもが元にする量を見破り、それを半分にすれば1/2プラチナと言ってもよいと見い出せるように展開を工夫しました。
 分数は、新指導要領で2年生から扱われることになりました。その後は、割合を表したりや数学でもつきあい続けたりするものです。子どもにとって負担のない出会い方、量分数と分割分数の扱い、その後の発展を意識した指導の仕方などについても話題になり、改めて分数を大切に扱うことの必要性を感じました。

3.実践報告「思考力を高めることを意識した計算練習の指導、全員が主体的に参加できる、計算練習の指導」 2年生 問題解決の授業の一方で、繰り返し計算練習をして確実に計算できるようにさせる授業も大切です。このとき、ドリルのような計算問題だけでなく、取り組み方を工夫して思考力を高めたり、主体的に参加したりできる実践について報告されました。
 「2ケタ×1ケタの筆算」(3年生)では、計算練習後に積が2ケタになる式と3ケタになる式を見て、なぜ2ケタ、3ケタになるのかを考えました。それを友達と説明し合うことで、主体的に学び合うことができました。すると、数値の大きさだけでなく、繰り上がりがあることで3ケタになることを発見しました。
 次に、先の学習を生かして、積が2ケタ、3ケタになるように式を作りました。条件に合う積になるにはどうしたらいいかを考える場面で、思考力が働いていました。また、作った式を互いに解き合って確認することで、主体的な学習が進みました。
 他にも、計算練習の前に「計算する前に、答えが大きいと思う問題から順番に解いてみよう。」「計算する前に、答えが同じ問題はどれか当ててみよう。」と問うことも、子どもに思考を働かせながら問題に取り組ませる工夫であると、坪田先生から話がありました。
 問題を解き終えた子から順にノートを持ってこさせて先生が丸付けすることがあります。そのような時も、「10問分の答えを全てたした答えだけ教えて。」と言えば、並んで待つことなくすみます。もし間違えれば、子どもはどこに間違いがあるかを改めて全て計算することだけでなく、概算や一の位だけ見るなど既習を生かした工夫をするのではないでしょうか。

2011年10月3日月曜日

第54回 さんまの会報告

第54回 さんまの会報告
 日時:10月 3日(月) 18:00~
 内容:1.提案 「九九表のきまり~数の感覚を育てる指導の在り方~」4年生
     2.数量関係(関数の考え)の実践報告 「ならべ方と組み合わせ方」6年生
     3.話題 「分けた大きさを表そう」2年生

1.提案 「九九表のきまり~数の感覚を育てる指導の在り方~」4年生
 単元「ななめにかけて、答えが大きいのはどっち?」を通して、子どもが自ら数や式に働きかけ、いろいろな見方ができるようにして、数の感覚を豊かにすることをねらう授業についての提案です。
 素材は九九表です。一部を四角形で隠し、対角線上に対面する角の位置にある数をかけると答えが同じになります。子どもが不思議に感じるこのきまりの「なぜ?」を帰納的に説明することで、数を分解して乗法的に見ることができるようになります。例えば、右の場合、隠された一部は①②③④で、①×④=②×③、つまり「18
×28=21×24」になります。この左右の式の数を分解し、結合法則を使って並び替えれば、両方とも「3×4×6×7」になります。このように数を見れば、いずれの場所でも成り立つことが説明できます。
 授業では、九九表の全てでなく一部を使うことや、①×④=②×③の説明を記号を使うことで小学生でも一般化できることなどが話題になりになりました。また、対角線上に対面する角の位置を大きな正方形や長方形にしてもきまりが成り立つかを調べたりすることも、子どもが興味をもって追究する学習につながるのではないかと、素材の可能性を考えることもできました。
 指導要領にも記されていますが、一つの数を他の数の和や差としてみることと同様に、積など他の数と関係づけてみることは重要です。いずれの学年でも、数感覚を育てる指導は心掛けていく必要があると考えることができました。

2.数量関係(関数の考え)の実践報告 「ならべ方と組み合わせ方」6年生
 「ならべ方と組み合わせ方」の学習は、起こりえる場合を順序よく整理して、落ちや重なりがないように並べて調べることが目標です。そのために、記号化して全てを並べてかいたり、樹形図を使ったり、表に表したりするなどの方法を使います。
 実践報告では、問題場面を関数的にとらえて解決した子の考え方が紹介されました。
 「4人が1列に並ぶ時の並び方は何通り」という問題で、「何かきまりがあるかな」という見方をする子がいました。「3人だと6通りで、4人だと24通り。3人から4人に人数が増えると、6通りから24通りの4倍になっている。だから、5人になったら5倍になるはずだ。24×5で120通りある。」というものです。「どうしてそのきまりが正しいと言えるのか?」と教師が問うと、きまりを使ってよいというには説得力に欠けることに気付き、さらに考え出しました。「数は増やすだけでなく、減ることも考えられるよ。」と伝えたところ、1人だったら1通り、2人だったら2通りだと導き、これまでの数を整理して並べてみると、見事にきまり通りに数が変わっていくことを発見しました。その後、さらに人数を14人まで増やして計算し、「もう計算機じゃ枠からはみ出して計算できなかったよ。」「こんなにあるんだ。」と驚いていました。
 「ならべ方と組み合わせ方」でも問題場面を関数的にとらえて、きまりを使っても解くことが可能であることを、この子の説明を聞いて他の子も理解できました。今回は偶発的に関数的に見て解決する子が現れたので、関数の考えで解く並び方を学ぶことができました。今後は、教師の意図的な発問や手だてでこのような見方を育てることが課題です。

3.話題 「分けた大きさを表そう」2年生
 2年生で簡単な分数を学習します。ここでは、折り紙やロープなどの具体物を半分にすると、元の大きさの1/2の大きさができ、さらに半分にすると、元の大きさの1/4の大きさができるということを学びます。
 分数の意味や表し方については、第3学年から本格的に指導しますが、第2学年では分数について理解する上で基盤となる素地的な学習を行い、分数の意味を実践的に理解できるようにするのがねらいです。
 話題では、「元にする大きさが変わると、同じ1/2でも大きさが変わることを知る」ための指導について考えました。単元の最後に、大きさの異なる用紙を使って1/2をつくると、できる大きさが違うことに出会うことで、元の大きさが大切であることを理解するものです。子どもが意識していなかったことを子どもが意識することで、多面的な見方や理解が一層確かになるのではないかと考えることができました。

2011年9月12日月曜日

第53回 さんまの会報告

第53回 さんまの会報告
 日時: 9月12日(月) 18:00~
 内容:① 6年生「反比例」
    ② 「数量関係(関数の考え)について」

提案① 6年生「反比例」
 面積一定(24㎠)の長方形の縦と横の長さを、作図や表、式などで調べる算数的活動を通して、伴って変わる二つの数量の関係を考えたり、反比例の意味を理解したりする授業についての指導案検討を行いました。意欲や学力に差のある学級で全ての子どもが取り組みやすくするために、作図を取り入れたり、具体物の作図を利用することで表や式に表しやすくしたり、反比例のグラフにつなげたりする展開を検討しました。新指導要領で中学校から移行された反比例の学習を、「数学的な思考力・表現力を育てる指導法の工夫(算数的活動を通して)」に照らして考え、意見交換しました。
 反比例の学習材として、リットルマスに水を入れ傾ける素材を坪田先生に紹介してもらいました。マスを傾けていくと左側と右側の深さが和一定の関係で変化するが、マスの底に水の表面がうつると、底の長さと一方の側面が積一定の関係になるというおもしろいものでした。きっと、子どもも驚きをもって学べると思います。

提案② 「数量関係(関数の考え)について」
 この夏の日数教で、さんまの会は「関数の考えを育てる継続的指導」について発表しました。発表当日の質疑などの報告や、来年度に向けてこれからの取り組みについて話し合いました。今後も「数量関係(関数の考え)」についての研究に取り組み、発表に臨みたいと考えています。

 以上の提案の他、「分けた大きさを表そう(分数)」(2年生)と「マッチ棒問題の平面版と立体版」についても話題になりました。
 2年生で学習する簡単な分数は、折り紙などを折って1/2や1/4を知る事です。この学習の視点を変えて、もとにする大きさを変えて(使用する折り紙の大きさを変えるなどして)1/2を比べたとき、同じ1/2なのに大きさが違う事を子どもはどのように理解して説明するかを検討しました。
 マッチ棒問題では、マッチ棒の数え方をいろいろな方法で考え、式に表すなどの解き方を考えました。学年に応じた解法ができる魅力を感じる素材でした。平面から立体にして考えるとさらに複雑になるなど、発展的に扱える素材でもありました。

2011年7月11日月曜日

第52回 さんまの会報告


第52回 さんまの会 報告
 日時: 7月11日(月) 18:00~
 内容:①4年生「計算のきまり」
     ②1年生「たしざんとひきざん」

提案① 4年生「計算のきまり」
 ドットの数の求め方を、まとめたり移動させたりするなど工夫して考え、ひとつの式に表すことをねらいます。「式で表すこと」と「式を読むこと」を通して、数学的な思考力・表現力を育てるためには、どのような問題をどのように提示するのがよいかなどを考えました。問題の示し方によって、子どもの思考は変わってきます。例えば、順に数が増えていくように提示すれば、関数の考えを導くことができそうです。
 話し合いの中、右のような図を示して「ぼうの数を計算で求めよう」と問うたとき、子どもはどのような式に表すかという話題が、坪田先生から出されました。みなさんなら、どのように式に表しますか? 参加者が取り組んでみましたが、多様な考えができる、魅力的な問題でした。

提案② 1年生「たしざんとひきざん」
 教師道場での授業公開の実践報告です。
   シュークリームとドーナツを買いに行きます。シュークリ
        ームを4個買います。ドーナツはシュークリームより6個
        多く買います。ドーナツは何個買えばよいでしょう。
 このような問題場面から、4+6=10の立式はできます。しかし、1年生がそれぞれの数は何を表しているのかを理解し、説明するのは難しいものです。「4」がシュークリームを表しているのであれば、和の「10」は何の数でしょうか? この場合、「4」は「シュークリームと同じ数のドーナツの数」を表しているのですが、このことをきちんと理解して立式していないのであれば、単にある数を並べているだけになってしまいます。今後の学習でも「式に表す・式を読む」ことを扱いますが、1年生のこのような場面から積み上げていくことで、確かな力になって身に付くのではないかと考えることができました。

2011年6月6日月曜日

第51回 さんまの会 報告

第51回 さんまの会 報告
 日時: 6月 6日(月) 18:00~
 内容:①1年生「10より大きい数」
     ②6年生「小数のわり算」

   1年生「10より大きい数」
 20までの数の数え方や唱え方を理解させたり、「10のまとまりと端数がいくつ」と見て数え方を工夫させるための指導について話し合いました。子どもが「数えたい」「数えるためにきれいに並べてみたい」「ブロックに置き換えてみたい」などのように考えさせるには、どのような展開がよいのか。10~20までの数を「10といくつ」に分けると数がとらえやすいことを子どもに気付かせるには、どのような発問がよいのか。など、子どもの意欲をかきたて、思考を追って学習を進められる教師の心得についても話題になりました。

   6年生「小数のわり算」
 1より小さい数でわると商はわられる数より大きくなります。これまでは、わると小さくなっていた商が、なぜ大きくなのかなと驚きと興味をもって学習するための指導法を考えました。計算をして答えを求めるだけではなく、わる数による商とわられる数の関係を、子どもが意欲的に解き明かそうとする工夫です。数直線に表したり絵に描いたりして具体的に考えることや、被除数はそのままにして除数を1.2、1.1、1、0.9、0.8・・・と変えていくことで商の変化を発見することなどがあげられました。
 他にも、少数のわり算の決まりから考える方法もあります。例えば、÷0.5は×2と同じであることを発見することで、商がわられる数より大きくなることに気付くこともできます。
 これまでのわり算と違うことを、不思議でおもしろいと思うか、逆に混乱させてしまうか、子どもの思考を予想しつつ、学習を組み立てることの大切さを話し合うことができました。

2011年5月23日月曜日

第50回 さんまの会 報告

第50回 さんまの会 報告
 日時:平成23年 5月23日(月)
 内容:「わり算」3年生


 今回で第50回を迎え、記念すべき会となりました。
 第3学年のわり算(除法)で学ぶことは、「除法の意味について理解し、それらを用いることができるようにすること(学習指導要領より)。」である。わり算の指導の際、提案者が考えた7つのことについて話し合いました。
 7つの話題のひとつは、「導入は「等分除」と「包含除」のどちらがよいか?」です。「等分除」で導入している教科書が多いが、これは児童の生活体験に合うので意味理解しやすいという利点があります。一方、「包含除」は答えを求める思考がかけ算の意味と合うことや割合の考えともつなげやすいという利点があります。教師は、それぞれにメリットやデメリットがあることを理解して指導する必要があることが分かりました。
 「等分除の場面を包含除で操作する児童にどのように指導すればよいか?」についても話し合いました。全体を1つ1つ分けていく等分除の操作場面を、1つ分の数を見つけて包含除の操作で解決する児童がいます。わり算の2つの場面を的確にとらえ、その意味の通りに操作をできるようにすることは大切です。そのために、問題文の全体の数量をかくしたまま提示したり、一度動かした物は動かせないなど操作に条件を付けることなどの工夫が考えられました。
 他にも、「技能は身に付けているが、わり算のイメージがつかない児童への指導」「等分除の場面で、それって本当に3の段?と児童に聞いたら」「a÷a=1、0÷a=0、a÷1=aはなぜ大切か?」「分離量では理解できるのに、連続量では理解できない理由は何か?」「なぜ倍と除法の意味を指導するのか?」など話し合い、今後のわり算の指導に役立てることができる会になりました。

2011年4月30日土曜日

第49回 さんまの会 報告

第49回 さんまの会 報告
 日時:平成23年 4月30日(土)
 内容:「算数の授業開きなど」

 新年度を迎えました。今回は、私立小学校の算数勉強会WA会と共同で開催し、新しいクラスでの算数の授業開きを紹介し合いました。算数の授業を通して、どのような学級や子どもを育てたいかという思いも盛り込まれた提案でした。多くの提案がなされ、おなかいっぱいになる会でした。今回も、明日からの授業実践に生かしたいと思うことばかりでした。

①「21を言ったら負けゲーム」(3年生)・・・・2人で対戦し、1から順に数を言っていきます。一度に言えるのは3つまで。最後に21を言った方が負けです。先生と対戦すると、必ず先生が勝つ。どうしてだろう、何がきまりがあるのだろうか? この疑問を解明し、説明する学習を通して、算数の授業が楽しいこと、数にこだわると見えてくること、みんなで学び合うとわかることがあるということを、子どもたちが実感できる実践でした。

②「見つけたきまりを使って、次にくるカードを考える」(4年生)・・・・きまりを見つけることで関数的な考えを育てたい、きまりを自分でつくる楽しさを味合わせたいという教師の思いが込められています。「□春→□夏→□秋→□冬→」の次にくるカードは何でしょうか? 子どもは1年の四季を思い、□春と答えます。では、「□春→□夏→□春→□夏→」や「□秋→□冬→□秋→□秋→□冬→」の次にくるのは? 子どもは並んだカードの規則性(繰り返し)を見つけ、□春や□秋であると説明します。次は、3種類2枚ずつの6枚のカードをトランプのようにきって並べ、偶発的にできた順番に理由を付けて次にくるカードを決めます。子どもが自分の考えをもち、自分の考えを伝え、人の話を聞き協力して課題を解決する力を身に付けることを具現化した実践でした。

③「数表ゲームで遊ぼう」(2年生)・・・・2人で対戦し、0から99までの数表(10×10マス)を使います。じゃんけんに勝ったら下に1マス、負けたら右に1マス進みます。先に99より大きな数(一番下の段)を超えたら勝ちです。ゲームの途中で現在の数(升目)を言うと、先生は勝敗をぴたりと当てます。例えば、85にいるなら8回勝って5回負けてると。さらに、その対戦者は5回勝って8回負けていることまでも。どうして先生は勝敗がわかるのだろうかと子どもは不思議に思い、そのナゾを解こうとします。そして、一の位と十の位に着目して勝敗がわかることや、対戦相手の数は自分の数とひっくり返っていることなどに気付き説明します。これから、子どもが課題に対して自ら問いをもち、進んで課題を解決していけるように育てたいという教師の意図を表した実践でした。

④「星空に虹を(カードゲーム)」(各学年)・・・・オリジナルのカードゲームを使って算数の学力アップをねらっています。取り扱う教師の意図で、子どもの論理性や発展性を育てたり、数感覚を磨くことのできるものでした。ルールを子どもが考えて広げていくことでより複雑な計算や数感覚を育てたり、使えるカードを限定するなど制限をかけることで状況を乗り越える工夫が生まれるなど考えられます。学年や単元に応じた扱いができるものでした。

⑤「対称」(6年生)・・・・パターンブロックで正十二角形を作る活動を取り入れた「対称」の導入です。それぞれの子どもが並べた正十二角形の模様を、対称性に目を向けて分類します。すると、線対称、点対称、線対称であり点対称でもあるもの、どちらでもないもの4つに分類できます。活動や子どものつくった作品を扱って学習を進めることで、学習に興味がわき、自主的な取り組みができるようになる実践でした。

⑥「紋切り遊び」(6年生)・・・・紋切り遊びは、江戸時代から庶民のあいだで親しまれてきた切り紙遊びです。自分の考えを論理的に説明する力を付けることや、作業的・体験的活動を通して理解を深めることをねらって、紋切り遊びを「対称」の導入に取り入れました。2つ折りして切った形や2つ折りをさらに2つ折りしして切った形を想像したり作ったりしました。これらの活動の後、8等分して切ったときはどうなるか考えました。折り線を対称の軸として線対称な図形ができるのですが、そのような言葉や説明を添えなくても、子どもは楽しみながら実感して理解します。平面を折って切り開くという作業は、子どもの興味をかき立てたり予想に反した完成に驚いたりすることがあります。このような取り組みを通して、子どもの図形を見る目が育てられる実践でした。

⑦「間違いを生かす指導」(4年生)・・・・昨年度の学年で行ったまとめテストの誤答を教材にして、友だちがどのように考えて問題を解いたのかを考えました。間違いの原因を探ることを通して、友だちに考えを伝えたり友だちの考えを理解したりすることができます。考え方や説明の仕方にふれることで算数の楽しさにふれてほしいという、教師が目指す算数の授業で大切にしたいことを具体化した提案でした。また、式に名数を付けて指導することも話題になりました。式の意味や単位量あたりの大きさなどの指導でも有効であるという意見と、面積や割合の指導で疑問があるなどの意見が出されました。

⑧「考え方を式から見てみよう」(2年生)・・・・「3人の子どもたちが、金魚を2匹ずつすくいました。3人合わせて金魚は何匹?」という場面から、子どもは「2+2+2=6」と「3+3=6」の2種類の式で答えを求めました。この2種類の式から、友だちはどのような考えをしたのかをさぐり、説明したり聞いて理解したりしました。自分とは異なる視点や考え方を取り入れることなどで、学び合いの楽しさを知ってほしいという教師の思いのこもった実践でした。

2011年3月9日水曜日

第48回 さんまの会 報告

第48回 さんまの会 報告
 日時: 3月 9日(水) 18:00~
 内容:「D数量関係(関数の考え)」

 夏の日数教で発表する予定の「D数量関係(関数の考え)」について、基本的事項を学んだり実践事例を報告したりしました。関数の考えで大切なことは、「きまりを見付け、それを利用して問題を解決すること」「法則を見付け、有効に使う態度と考えを育てること」「関数を使って、問題を解くことができる体験を保障すること」という提案です。「関数の考えを身に付けさせるには、どんな指導をしていけばよいのか」「関数の考えを便利だと感じさせることのできる指導はどういうのもか」などを話題に話し合いました。D数量関係は、新学習指導要領で1~6年生の全学年で扱うように再構成された領域です。各学年でどのような実践を通し、どのような力を身に付けさせなければならないのかなどを、今後も話し合っていきたいと思います。

2011年2月7日月曜日

第47回 さんまの会 報告

第47回 さんまの会 報告
 日時: 2月 7日(月)
 内容:「単位について(小数+量と測定)」(3年生)

 子どもに単位の具体的なイメージや量感をもたせたいというねらいを、小数の十進位取り記数表と関連させて指導する手立てを考えました。子どもたちが日常的に使っている言葉や物事には、単位をあつかったものが多くあります。例えば、アルプス一万尺の歌、尺取り虫、一寸法師、五寸釘などです。家屋の一畳や一坪もそうです。歴史的には、京と江戸では一升の量が違ったなど、その土地の文化に触れることもできます。それらに気付かせながら授業を進めることで、単位に興味をもったり、単位の仕組みに気付いたり、単位換算したりすることができるのではないでしょうか。また、新学習指導要領では、第6学年の量と測定領域でメートル法について十進法の仕組みによって単位が定められていることなどを学習します。机の面積を○㎠と見るより□d㎡(平方デシメートル)と見る方が量感もとらえやすくなるなど、単位の可能性や魅力についても考えることのできることができました。

2011年1月24日月曜日

第46回 さんまの会 報告

第46回 さんまの会 報告
 日時: 1月24日(月) 18:00~
 内容:「ともなって変わる量」(4年生)

 4年生「ともなって変わる量」について考えました。教科書にある問題だけでなく、円を切った回数や紙を折った回数、水槽を傾けた時の深さや三角形に見える水の形、正方形の紙を山形に積み上げたときの枚数の増え方が平方数になっていることを図で説明できることなど、ともなって変わる量の学習で扱える様々な素材を知ることができました。1つの時、2つの時、3つの時・・・のように順序よく問題場面を見せるのではなく、子どもが既習を生かして表やグラフ、式を考えたり、対応や変化のきまりを見付けたり、特徴を見いだしたりする授業技術についても学ぶことができました。